れ - - - 連絡先は、あのビル3F
雑踏を抜けて、
狭い空が広がる場所に建っている あのビルの3Fに、
あの人は、居る。

住んでいる所や、電話番号。
そんな 連絡先は、知らない。
名前も 苗字しか、知らない。
ただ、そこに行けば 彼女は、居る。


十代のわたしが 彼女に教えてもらったことは、
お酒やタバコなんかではなく、
ラッシーの味。
それと、
人の話をきちんと聞く、ということ。


何かあっても、そこへ行けば 彼女が居る。
わたしの話を 聞いてくれる人が 居る。

連絡先なんて知らなくても、
「そこに居る」
それが分かっているだけで、
十代のわたしは、
なんとなく、毎日 安心していた。


きっと 今も、
あの 気持ちの良い声で 迎えてくれる。
posted by ひより
category:いろは綴り 壱巡目   comment:3 trackback:0

thema:自作詩 - genre:小説・文学


| HOME |